愛犬のしつけ、大事なことってなに?

こんにちは。ドッグスクールKANEKOです。

愛犬には「しつけが必要」だという事はよく知られていますが、具体的になにをすればいいのか、なにから教えればいいのかわからず、試行錯誤しながらしつけをしている方も少なくないと思います。

 

はじめに

しつけとは「愛犬にルールを教える事」ですが、しつけの手順や方法は色々あり、愛犬の性格や家族構成、生活環境やライフスタイルによって教える内容や優先順位は変わると思います。

具体的に教える姿勢(課目)や習慣の順番は各ご家庭や愛犬によって変わる事もありますが、前提として「基礎」や「土台」がしっかりできているかどうかが重要だと感じる事が多いです。

意外と「基礎」や「土台」ができていないのに、その先へステップアップしようとする方が多いように思います。

 

しつけの基本

しつけというと「座る」「伏せる」「待つ」「呼んだら来る」など、各姿勢(課目)や行動を教える事をメインに捉えている方が多いですが、これらは「基礎」や「土台」の上に積み重ねていくものです。

「しつけとは別もの」と区別する方が多いですが、愛犬との「日常生活」が「しつけの基本」(基礎、土台)になります。

基本ができていない状態でステップアップは難しいため、まずはしつけの土台づくり( =日常生活の見直し)からスタートしてみて下さい。

 

日常生活とは

生活環境、生活習慣、愛犬への接し方、ご家族との関係性などです。

犬は繰り返し得た内容を学習し、習慣化する動物です。

なので、しつけや練習を「何度も繰り返す」事によって愛犬は「こうすればいいんだ」と理解し学習していきます。

実はお困りの行動や程度が酷くなる( =強化する)のは、同じ状況や行動を「何度も繰り返す」事により愛犬が学習した結果によるからです。

しつけはご家族が「意識的に」繰り返し愛犬に教えていく事が多いですが、お困りの行動はご家族が「無意識に」繰り返した事により「教えるつもりがない」のに愛犬に教えてしまう事があり得ます。

愛犬との生活は「日常生活」の繰り返しなので、「愛犬にして欲しい事」は意識的に繰り返し、「して欲しくない事」は意識的に「繰り返さない」ように工夫が必要な場合があります。

 

しつけのスタートライン

しつけの基本(基礎)は「スタートラインを決める事」とも表現できると思います。

カウンセリングやトレーニングのご依頼をいただいた段階で、すぐにトレーニングを開始できる状態の仔もいれば、日常生活の見直しがメインになる仔、日常生活の過ごし方から始める必要がある仔など、各ご家庭や愛犬の様子で様々です。

すぐにトレーニングを開始できる状態を「スタートラインに立つ」事と表現すると、日常生活を含む「環境を整える」事が、スタートラインを立つために必要な事なので、スクールでは、ご家族と連携してまずは「スタートラインに立つ」事を目標にお伝えしています。

スタートラインに立てるようになると、「日常生活でのお困り事」が必然的に改善しやすいため、割とスムーズにトレーニングが進みやすく、ご家族も愛犬も精神的に落ち着いてトレーニングに集中しやすくなる傾向があります。

ご家族は愛犬のお困り事に対して「なにをすればいいのかわからない」方が多く、一生懸命愛犬に向き合っていたのに上手くいかず自信をなくしてしまう方もいるため、ひとつひとつを実践していただき「いい変化が出た」成功体験や達成感を得て自信を持っていただく事も大事だなと思います。

愛犬とのトレーニングも「成功体験」の積み重ねが必要ですが、「スクールやトレーナー相手」で変化が出ればいいのではなく、「ご自宅やご家族相手」での変化が最終的には必要なので、ご自宅やご家族も愛犬との生活や練習で「成功体験」を積み重ねていけるようにサポートできればと思います。

 

しつけが「できる」とは?

しつけは、愛犬に「ルールを教える事」ですが、しつけをする(練習をする)時間「だけ」ルールを守るように教える方が意外と多いです。

例えば、「座る姿勢」を教える際に、「ごはん前だけ」座る事を教えると、愛犬は「それ以外では座らなくていい」という風に学習していきます。

「家の中で落ち着きがない」「外に出ると興奮が強い」などの相談がありますが、「基本的なしつけはしていておすわりもできます」という方もよくいます。

おすわりができるなら落ち着きがなくなる場面や外に出た時にも愛犬に「おすわり」をさせ、落ち着かせればいいと提案すると「それはできない」と言われるパターンが多いです。

「おすわりができる」状況が限定的だと「できる」範囲がかなり狭くなります。

せっかく「おすわり」を教えたなら「どんな時でも座る事」を教えてあげた方が、愛犬にとってもご家族にとってもいいと思います。

なので、スクールでは、「どんな時でもできる事」を「できる」と表現し、愛犬が「できる事」を増やしていく事を目標のひとつにしています。

 

愛犬の「できる」はどこまで求める?

一見すると「問題ない」仔が年齢を重ねたり、ふとしたきっかけで「いつの間にか」お困りの行動が出てきたり、お困りの状況になる事があります。

お迎えしてしばらく「なにも問題ない」愛犬の場合、特にプロにしつけやトレーニングをお願いしようと思う方は少ないと思いますが、「ご家族との生活」の中で「たまたま」苦手な事や嫌な事を避ける事ができていて、なにかのきっかけで愛犬が「苦手な事」や「嫌な事」に直面した時に手がつけられなくなるケースがあります。

たまたまペットホテルに預けた時、

たまたまサロンでシャンプーをしてもらった時、

たまたま病院でいつもとは違う先生に診察してもらった時、

たまたま違うお散歩コースへ行った時など「偶然」も含め「いつもと違う環境(状況)」になった時に、ご家族からすると「愛犬が豹変した」と感じる事があるようです。

例えば、愛犬の触り方ひとつでも、十人十色なので、ご家族としか接した事のない仔がご家族とは違う触り方をされると、噛んだり拒絶したり逃げたりする事があります。

優しく撫でるのはいい事ですが、その触り方「だけ」しか知らない仔は病院での処置で皮膚をつままれたり、保定をされたりする事にパニックになったり、暴れたり、絶叫したりする仔もいます。

 

愛犬の可能性と選択肢

愛犬には無限の可能性があり、愛犬のいい所を伸ばしてあげるのはいい事ですが、同時に「苦手をなくす」事も大事だと思います。

愛犬となにかをしようとした時に「選択肢」が多ければ多いほど生活がしやすいと思います。

例えば、ご家族が旅行に行く時。

愛犬が「ご自宅以外では過ごせない」場合、家でお留守番をし、ご家族の旅行中はペットシッターなどご自宅に愛犬の世話をしてくれる人に来てもらう事「しか」できません。

愛犬が「いつもと違う場所」でも過ごせる場合、一緒に連れて行くか、ペットホテルに預けるか、ペットシッターに来てもらうか、「選択する」事ができます。

上記の例で結果として「ペットシッターに来てもらう」事になったとしても、それ「しか」できないのか、「それ以外もできるけどあえて選択した」のかでは、今後のご家族や愛犬の生活の幅が変わると思います。

 

1番可哀想な事

愛犬が5.6歳の「成熟期」や10歳以上の「シニア」の年齢になった時に「困る」「どうにかして欲しい」と相談を受ける事があります。

そこまでなにもせず、甘やかしたり、愛犬の好きにさせたりしていたのに、平均寿命の半分を折り返し、晩年に向けて穏やかに生活をしていく時期に、今までと180度違う価値観を強要される事になる愛犬は酷だと思います。

痴呆になり、昼夜問わず鳴き続けるなど年齢によるものも一部ありますが、今まで許容していたのにある日を堺に「これからはしないで欲しい」とご家族に態度を変えられると愛犬は混乱してしまいます。

しつけをするなら「もうすぐ落ち着くかも」と淡い期待を込めて月齢や年齢が経過するのを待つのではなく、「将来困らないように」低月齢からしつけをしてあげるのがベストだと思います。

 

さいごに

「しつけをする」のは大事ですが、しつけは「日常生活」によってスタートラインに差が出る事があります。

「しつけは幼少期にするもの」と認識されている方がいますが、愛犬の成長過程で色んな変化が出るため、「困ってから」ではなく「予防的に」「困らないように」成長過程に合わせたトレーニングも必要かなと思います。

お困りの行動に対して「どうしたらいいかわからない」時は、「日常生活の見直し」をおすすめしますが、「なにを見直せばいいのかわからない」事も多いと思います。

ご家庭内で試行錯誤をされるのも悪くはないですが、お気軽にお問い合わせいただき、ご自宅の生活環境の確認を兼ねてカウンセリングをさせていただければと思います。