愛犬はなんのためにハウスするの?

こんにちは。ドッグスクールKANEKOです。

年始の震災後から特に「ハウス」の重要性や「日頃からハウスの練習をする」必要性を書かれている記事や投稿を目にする機会が増えました。

「ハウスは可哀想」という認識から「ハウスは愛犬にとって必要な事」と改めて理解をされている方も増えている気がします。

(ハウスについて) 愛犬にハウスは可哀想?やっぱりケージレスがいいの?

 

はじめに

「ハウスの練習」をする方法や動画もよく目にしますが、せっかくハウスの練習をしているのに解釈が間違っているケースや「あと1歩」でベストの練習になるのに「もったいない」というケースがあるように思います。

また、色んな「イレギュラー」に備えられる「ハウスの練習」ができているかというと、まだ不十分な場合や練習している「つもり」のケースも散見されます。

 

ハウスとは?

愛犬が静かに落ち着ける場所であり、「愛犬専用の個室」ともいえると思います。

最近はサークルや囲いで区切った中にトイレやクレートなどを設置した「愛犬のスペース」を作る方も増えている気がします。

スクールでは、「ハウス」はトイレやプレイスペースを除き「愛犬ひとりが入って過ごすスペースのもの」と定義し「バリケンネル」というハードタイプのハウスを使用しています。

ハウスはクレート、キャリーなど、色んな表記がありますが、ここでは「ハウス」と表記を統一します。

また、「ハウス」と区別するため、トイレやプレイスペースがハウスと同じ空間(スペース)にあるものは「愛犬のスペース」と表記します。

 

なんのためにハウスするの?

「ハウスの練習は大事」と知識を得ても、なぜ?なんのために?ハウスをするのか、ご家族や愛犬に置き換えて「どんな時にハウスが必要なのか」を考えている方は多くはないかもしれません。

「ハウスの練習」をする時に「どうやったらハウスに入るのか」を最もよく目にしますが、「ハウスに入る事」はハウスの練習の「はじめの1歩」であり、「ハウスに入れたからハウスの練習は終わり」ではないからです。

スクールでは、「ハウスに入って静かに落ち着ける事」が「ハウスができている」状態と定義しています。

ご家族が愛犬に落ち着いて欲しい時に「ハウスすると落ち着けるようにする」ため、車などの移動時に「安全に過ごす」ため、などハウスの目的は人それぞれだと思いますが、人の指示でハウスに入る、ハウスから出る練習ができたら、次の段階へステップアップをおすすめします。

 

ハウスの必要性

「ハウスの練習ができている」場合、愛犬はハウスに入ればある程度は落ち着く事ができるため、はじめての場所や来客時など「普段と違う状況」になった時に愛犬自ら落ち着くために入ろうとする場所になっている事が多いです。

せっかくハウスが落ち着ける場所になっているのに、ハウスの扉を閉めて入れない状態にしている方、興奮しやすい状況なのにハウスしないで興奮させっぱなしの方など、「なんで今ハウスしないの?」というケースがよくあります。

ご家族がハウスの必要性について「頭では」理解していても、「ハウスに閉じ込めるのは可哀想」という心理があるようで、「少しでも愛犬の自由な時間を作ってあげたい」という想いからの行動のようです。

愛犬からすると、「今はひとりになりたい」「逃げたい」「落ち着きたい」時に、「ハウスをさせてもらえない = わざわざ嫌な状況」に置かれてしまうため、どんどん落ち着きがなくなり、興奮したり、不安から神経質になったり、動ける範囲でパトロールをし始めたり、ご家族に対しての不信感を持ったりなど「よくない変化」が出てきやすくなります。

 

ハウスの練習で気をつけて欲しい事

最近は、愛犬を「ハウス」や「愛犬のスペース」でお留守番させている方が増えていますが、お留守番でハウスができているから「ハウスが完璧」かというとそうではありません。

もちろん、静かにハウスでお留守番できる事はいい事ですが、お留守番は「ご家族が不在の時」に「ハウスで静かに過ごせる」だけなので、「ご家族が在宅中」にも「ハウスで静かにできる」ようにチャレンジしてみて下さい。

また、「ハウス」の認識がご家庭によって様々で、「愛犬のスペース」を「ハウス」と呼んだり勘違いししたり誤解したりしているケースもあります。

災害時の避難など、「イレギュラーに備える」ためのハウスなら、愛犬だけが入るスペースの「ハウス」に慣れる事が重要ですが、「ハウスで静かに過ごせている」とお話を聞いても、実際のハウスの写真を見せてもらうと「愛犬のスペース = ハウス」という認識をされていて、スクールとは認識の違いがある場合もあります。

 

愛犬のスペースとハウスの違い

愛犬のスペースでは、ハウス、トイレ、プレイスペースなどが同じ空間にあるため、いつでもトイレに行ける、視界が広く色んな情報が入る、ハウスより広いためあちこち動ける事から、「ハウスに比べると」落ち着きがなかったり、興奮しやすかったり、トイレコントロールができなかったりする可能性があります。

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愛犬のスペースがあるご家庭でも、「愛犬のスペース」で過ごす時間と「ハウス」で過ごす時間を分けて作っている場合、「愛犬のスペースのみ」で過ごす環境と比べると「落ち着きやすい」傾向があります。

愛犬のスペース内にハウスがなく、犬用のベットなどしかない場合、ハウスに比べると「落ち着ける場所」にはなりにくいため、愛犬の性質や性格からすると「ケージレスと大差ない」場合もあります。

「愛犬のスペース」を設けるなら、スペース内に「ハウス」を入れる事をおすすめします。

 

ハウスの活用方法の一例

ハウスを覚え、ハウスで過ごす事に慣れると愛犬との生活が便利になりやすいです。

来客時、人の出入りがある時

愛犬が興奮しやすい場面のひとつなので、人の動きが落ち着くまで、愛犬はハウスで静かに過ごせるとベストだと思います。

また、人の出入りがあると「いつの間にか」愛犬が脱走してしまう事もあるため、「愛犬の安全」を確保するためにも「ハウス」をする事をおすすめします。

移動時

車、飛行機などの移動時に使用するケースが多いです。

飛行機の貨物室では、破損しにくいハードタイプの指定のハウスを使用する事がありますが、車でも万が一に備えてソフトタイプではなくハードタイプの方が「いざという時」に少しでも衝撃を和らげられるため、愛犬の命を守れると思います。

旅行先

愛犬と一緒に旅行する際も普段使用している「ハウス」を持っていくと場所が変わっても静かに落ち着いて過ごせる事が多いです。

ハウスは「愛犬専用の個室」なので、神経質な仔や環境の変化に弱い仔などは特にハウスで落ち着ける習慣をつけておくと安心だと思います。

サロンやペットホテル

ハウスを使用しないケージレスの施設もありますが、ご家族のお迎えまでハウスを使用する施設もあります。

ハウス内で愛犬が吠えたり暴れたりしていると、愛犬自身は怪我をするリスクがあり、周りの仔達には「よくない刺激」を与える事になり、「ハウスに慣れていない事」は愛犬にとっても、ご家族にとっても、利用される施設にとってもいい事はないです。

ケージレスの施設を利用していても、繁忙期で定員数に達したり、リニューアルや臨時休業などのお休みで「いつもの場所」がご利用できないケースもあります。

「万が一」に備えてハウスの練習をしておくと、緊急時でも愛犬やご家族の「選択肢」が増えると思います。

 

ハウスができた方がいいケース

災害などのイレギュラーに備えても必要ですが、病院に「入院」する時は愛犬の安全面のため病院指定のハウスで過ごす事が多いです。

入院は、愛犬の体調が悪かったり、手術前後で体調管理をしてもらったり、「普段と違う」ため、愛犬は精神的に不安定だったり、落ち着かなかったり、弱っていたり、気が立っていたりする事もあると思います。

そんな状況で「ハウスで過ごす事」に不慣れだとハウスを苦痛に感じ、過度なストレスがかかる可能性があり「可哀想」だと思います。

いつ入院が必要になるかはわからないため、万が一に備えて、日頃から愛犬の「選択肢を増やす事」が愛犬のためであり、ご家族が意識して欲しい事だと思うからです。

例えば、「ハウスで静かに過ごせる」と、災害時に避難所を利用するか、自主避難をするか、近隣の施設に愛犬の預かりを依頼するか「選択」する事ができると思います。

ハウスを拒絶する、ハウスに入っているけど吠え続けると「お断り」されてしまうケースもあり、自主避難「しか」できない可能性もあります。

 

さいごに

「愛犬に『ハウス』を教えるといいらしい」と情報を得る事、ハウスの練習をする事はとてもいい事ですが、「なんとなく試すだけ」ではなく、「なんのためにハウスを教えるのか?」を各ご家庭でよく考えて下さい。

静かにお留守番ができるように、来客があっても静かにできるように、イレギュラーに備えるためになど、目的が違えば目標(ゴール)も異なります。

ハウスをお仕置き部屋の感覚で「愛犬を閉じ込めるもの」と表現される方や実際にお仕置きする時に使用されている方もいますが、ハウスを上手く使う事により、愛犬との生活がより過ごしやすくなると思います。

ハウスに慣れると愛犬も落ち着きやすくなるため、「落ち着かない」「興奮しやすい」などのお困り事がある方は特にハウスの練習をおすすめしています。